乗鞍高原を舞台に
ノンピークなトレイル歩き
今回のMGL定例登山は6月中旬に訪れた乗鞍です。とは言っても乗鞍岳最高峰である剣ヶ峰を目指すのではなく、乗鞍山麓エリア。このあたりは、のりくらトレイル、一瀬草原トレイル、三本滝トレイルという3つのハイキングトレイルにくわえて、国立公園内では初となるマウンテンバイクトレイルも整備されているトレイル天国なんです。
乗鞍観光センターにあるトレイルヘッド(登山口)の立派なゲートからスタート。このトレイルは、地元の有志の方々が整備しているトレイルなので、ここで500円の協力金をボックスに入れ、トレイルマップをゲットします。
先日、日光国立公園で登山道整備のボランティアに参加したのですが、予想以上の重労働。実際に体験してみるとその大変さが良く分かります。なので、ちょっと太っ腹に1000円を投入。ご苦労さまです。
今回のルートは観光センターから入って、まずは一ノ瀬草原トレイルへ。その後、のりくらトレイルを経由して、三本滝トレイルに入って、ふたたび観光センターに戻ってくるというものです。
スタート直後から素晴らしい。シラカバが両脇に生えた森の小径を進んで行きます。目を下に向ければ、ギンリョウソウ、ゴゼンタチバナ、マイヅルソウなどさまざまなお花たちも咲いています。
さらに進んで行くと、バーンと景色が開けます。この一ノ瀬はもともと牧場だった場所で、放牧の終わりとととに荒廃が進んでいた場所なのですが、地元の有志の人々の手によって環境整備がおこなわれ、いまでは歩道のユニバーサル化も進み、老若男女が楽しめるトレイルになっています。
まるで夢の国のような草原風景を歩いた後は一気にジャングル感ある場所に。ここはミズバショウの群生地なんですが、残念ながらお花の時期は過ぎてしまったようです。そういえば、いたるところに熊よけの鐘が設置されていますが、ここ乗鞍はツキノワグマが多く生息する場所。無用のトラブルを避けるためにもクマ鈴は必須です。万が一人間と熊の間でトラブルが起こってしまったら、処分されるのは熊のほう。ならば人間が気をつけるべきですよね。
ミズバショウ群生地を抜けるとふたたび草原に出ます。そして振り返れば乗鞍岳がどーん。もうこれ以上のランチスポットもないでしょう。さっそくマウンテングルメの開始です。この日シェフの田嶋が持ってきたのは、試作中の「烏賊塩辛のクリームペンネ」。烏賊塩辛の濃厚な旨味とクリームの深いコクが一体となって、口の中に旨味の海が広がります。このメニューは現在製品化に向けてブラッシュアップしている最中で、おそらく秋頃には発売できると思うので乞うご期待。
その後も、どじょう池や、まいめの池などマウンテングルメなスポットはいくらでもあります。一ノ瀬を満喫したあとは、峠をひとつ越えて善五郎の滝へ。これが予想以上の大迫力。滝壺のすぐそばまで下りることができるので、滝のミストも満喫。
この乗鞍トレイルズ、とにかくバリエーションが豊富。今回歩いたのは約11kmですが、その中に、シラカバの森、お花、草原、湿地、池、滝、そして乗鞍岳のマウンテンビューと要素がぎっしり詰まった良トレイル。まるで海外のトレイルのようなダイナミックさもあります。
ピークを踏むだけが山歩きの楽しさじゃない、ということをあらためて教えてくれたMGLイチオシのハイキングコースなのです。
Text & Photo / Takashi Sakurai