
MGL探訪 #02 シーベジタブル
いよいよMGLクイックシリーズの第一弾として、「すじ青のり香るポテトピュレ」が発売されます。MGLクイックとは、お湯を入れてかき混ぜるだけで完成する、文字通りクイックなミールです。
じつはこの「すじ青のり」は「シーベジタブル」という会社が手掛けているもの。青のりの中でも最高級品と呼ばれるものですが、近年収穫量が激減。それを受けてシーベジタブルが世界で初めて地下海水を利用した青のりの陸上栽培に成功したという、ある種奇跡のような海藻です。食物繊維やミネラルタンパク質など、登山の際に嬉しい栄養素もたっぷり。そしてなによりその香りが素晴らしいんです。
日本には食べられる海藻が豊富にあります。
そして海藻はミネラルの補給に最適な食品として世界的にも注目されています。
しかし、磯焼けという現象によって、海藻の収穫量が激減。それを含め、海藻にまつわる諸問題を解決しようとしているのがシーベジタブル。日本の食文化、ひいては世界の栄養事情を守ろうとしている尊い会社なのです。
そんなシーベジタブルの拠点のひとつに、MGLメンバーでお邪魔してきました。
伺った先は伊豆。
案内してくれるシーベジタブルの伊東芙由さんに誘われ、まずは船に乗り込みます。
ここは海面栽培をおこなっている場所で、ここ伊豆の拠点ではみりんととさかのりという種類の海藻を育てています。
聞いたことない?
そうでしょう。実は日本の海だけでも食用になりうる海藻類は1500種類ほどあるのですが、食卓に日常的に並ぶのは10種類ほど。まさに食のブルーオーシャンなのです。
引き上げられたカゴにはとさかのり。
もともと南九州が主な収穫地で、ここ伊豆でも良く採れたと言いますが、最近ではなかなか自生しなくなったと言います。ちなみにシェフ田嶋は地元天草の海岸でとさかのりを拾っていた思い出があるんだそう。
伊東さんにうながされて、口に入れてみますが、プルンとした食感がとてもたのしい。シーベジタブルでは乾燥と塩蔵の状態で販売していて、サラダにも最適。ゼリー状にして黒蜜ときな粉をかけてスイーツ的に楽しむのもおすすめだそうです。もうひとつのみりんはナムルにしても美味。
1ヶ月で3倍くらいになるし、タンパク質含有量も高い。
食糧危機が叫ばれるいま、注目されるべき食材です。
ズラッと浮かべられたカゴにはそれぞれたくさんの海藻たち。まさに海の畑です。
さらに太陽光と海水だけで育ってくれるので畑のように毎日面倒をみる必要もなく、メンテナンスもラク。良いこと尽くしです。
お昼は海藻尽くしのお弁当。
すじ青のりのかき揚げ。衣にすじ青のりが入った春菊のフリット。ひじきと新玉ねぎ、キャベツのサラダ。とさかのりの生春巻き。はばのり入りの大豆ミートの唐揚げなどなど。
もちろん海藻類はすべてシーベジタブルが手がけたもの。ヴィーガンなのに驚くほど満腹感が得られますし、その味わいや使い道のバリエーションにも驚かされました。
そして午後は今回「すじ青のり香るポテトピュレ」にも使わせてもらっている、すじ青のりが育っている現場へ。
タンクから掬いだされたすじ青のりを見て一同「ちっちゃ〜い」と声を揃えます。
これはまだ幼稚園児くらいとのことで、どんどん藻体が伸びて大人になっていくそうです。
食べ頃は1本の藻体が20cmほどになったとき。本来は1本1本独立して岩などに張り付いているそうですが、ここでは地下海水を攪拌することで星形に集塊化させています。それによってタンクの周辺に固まってしまうのを防ぎ、効率よくスペースを使うことができるそう。
「食べてみてください」という伊東さんに促され口に入れてみると、独特の触感。
アレ? すじ青のり特有の香りがない?
実は乾燥させないとあの独特の香りは出ないらしいんです。シーベジタブルのすじ青のりは、新鮮なうちに乾燥。さらに独自開発した設備やノウハウで生産することによって、その香り高さは世界トップクラス。
シーベジタブルは海藻を研究して育て、売るだけではなく、食べ方などの新しい提案にも積極的です。こうした海藻の食文化を守っていくには、なにより消費を促すことが重要だと言います。シーベジタブルのホームページでは、海藻にまつわるさまざまなものが販売されているので、ぜひチェックしてみてください。(https://seaveges.com/)
そして、そんなシーベジタブルとコラボして生まれた
「すじ青のり香るポテトピュレ」も超自信作。
すぐに出来上がるので、バタバタしがちなテン泊時の朝食にも、MGLの他の食事が出来上がるのを待っている間に食べる前菜としてもピッタリだと思います。
今回のツアーですっかり海藻のポテンシャルに魅了されたMGLメンバー。
積極的に海藻を取り入れることで、日本に古来から伝わる食文化を守り、新たな可能性を拓くことに貢献したい! シェフ田嶋もさっそく新メニューへの構想を膨らませます。乾燥させれば軽量だし、保存も利くので山飯との相性も良いはず。今後の動向にもご期待ください。
TEXT / Takashi Sakurai