
「MOUNTAIN GOURMET LAB.(マウンテングルメラボ)」を徹底解剖!
じつはMOUNTAIN GOURMET LAB.は
PARK, Inc.(https://parkinc.jp)というブランディングの会社が新規事業としてやっています。ブランディング会社がなぜMOUNTAIN GOURMET LAB.をやっているのか。
MOUNTAIN GOURMET LAB.がどこへ向かおうとしているのか。かなり赤裸々に書かせていただきました。
僕達の挑戦の現在値を一問一答形式で言葉にしています。ぜひご一読ください。
ー MGLプロジェクトオーナー兼食いしん坊担当 三好拓朗
Q1. 改めて、「MOUNTAIN GOURMET LAB.」とはどんなブランドですか?
三好: MOUNTAIN GOURMET LAB.はジャンルで言うと登山食のブランドですが、一言で表現するなら、「山という地球上で最高のレストランロケーションに、ふさわしい一皿を届ける『運べるレストラン』」です。
山で食べるカップラーメンは、なぜか下界の3倍美味しい。それは、自分の足で歩き、五感が研ぎ澄まされた最高のコンディションにいるからです。だとしたら、そこで「むちゃくちゃ美味しい、高級レストランのような一皿」を食べられたら、それはもう人生最高の食体験になるんじゃないか。そんな仮説からMGLは始まりました。
僕の持論ですが、グルメの最先端は「コンディショニング」にあります。美味しいものを食べるのは大前提として、それを「いつ、どこで、誰と、どんな状態で食べるか」を整えることこそが重要。登山は、そのための究極の準備運動なんです。
ピクニックが「食べるために野に出る」ように、最高の食事のために山に登る。そんな「グルメ・ハイキング」という新しいカルチャーを、登山愛好家はもちろん、食べるのが大好きなすべての人に広めていきたいと考えています。
Q2. MOUNTAIN GOURMET LAB.を立ち上げたきっかけを教えてください。
三好: 始まりは、登山にハマった食いしん坊の僕が直面した「切実なペイン(悩み)」でした。
テントを担いで山から山へ渡り歩く縦走登山。楽しみに出かけたはずが、2日目から身体が登山食を一切受け付けなくなったんです。目の前には息を呑むような絶景があるのに、喉を通るのは作業的な食事だけ。「自分はここで、一体何を食べたいんだろう」と自問したとき、真っ先に頭に浮かんだのが、以前から通い詰めていたnamidaの田嶋シェフ(MOUNTAIN GOURMET LAB.のシェフをしてくれています)の料理でした。
同時に、山に通うなかで「現代人こそ、この自然に浸る体験が必要だ」と強く感じました。電波が通じない環境。自分ではコントロールできない圧倒的に偉大な自然に包まれる感覚。都会に住んでいては感じられなかったものがそこにはありました。一方で、林業の衰退や獣害といった山の深刻な問題も目の当たりにしました。これらは経済合理性だけでは解決が難しい。でも、もし「美味しい」をきっかけに人が山に集まり、自然への愛着が生まれれば、そこから何かが変わるかもしれないとも思いました。
そしてPARKとして、「偏愛ベースのビジネスでも、正しく考え抜けば成立する」という証明をしたかったんです。経済合理性ばかりの世の中はつまらない。「愛をふやす」ことを掲げる僕たちが、自ら「偏愛」をビジネスにする背中を見せることで、多様な思いを持ったユニークなビジネスが溢れる景色を作っていきたい。そんな願いを込めて、あえて困難なこのフィールドを選びました。
Q3. MOUNTAIN GOURMET LAB.のこだわりを教えてください。
三好: 主に3つの軸に対して、一切の妥協を排して取り組んでいます。
ひとつ目は、「人生最高の一皿」を作る気概です。従来の工業製品としての保存食の常識を捨て、風景と調和したとき、その人の人生で一番の記憶に残るような「料理」を目指しています。シェフと共に、一ミリの妥協もなく味を追求しています。
ふたつ目は、登山装備としての徹底した機能性。「軽い・簡単・腐らない・ゴミを出さない」。これらは登山者にとって生命線です。グルメであることに甘んじず、道具としての機能性を極限まで高めています。
最後に、「体験」としての設計。単なるカロリー補給ではなく「美食体験」として意識を切り替えてもらうため、パッケージデザイン一つとっても、手にした瞬間に心が躍るような「食器」としての佇まいを追求しています。
Q4. MOUNTAIN GOURMET LAB.の今後の展望・未来像を聞かせてください。
三好: 直近の3年では、まず「グルメ・ハイキング」を文化として定着させたいですね。
そのためには自分たちだけじゃなく、様々な食品メーカーさんやアウトドア・ブランド、メディアなどの力も必要です。「山で食べるってこんなに素敵なんだ!」っていうのを広められるような仲間づくりを進めています。「グルメ・ハイキング」フェスみたいなのもしたいと思っています。例えばの施策として「山小屋スペシャリテ」という企画も準備しています。いろんなシェフや食品メーカーさんを巻き込んで、各山小屋ごとに、そこに行かなければ食べられない絶品の一皿を提供し、山から山へ「食べ歩き」をするようなスタイルを作っていきたいと思っています。昨年は穂高岳山荘さんで、本格的な煮込み料理を提供しましたが、こうした試みを全国に広げていきたい。
また、この「美味しさ」を保存食(防災食)市場にも届けたい。震災時などの非常時こそ、食事が喉を通らないほど心が疲弊します。そんな時、少し贅沢で、心が和らぐような食事が寄り添えるはずです。
さらに、ビーガンメニューの開発などを通じた海外展開も視野に入れています。日本食がこれだけ注目されているなかで、世界中のアウトドアシーンにインパクトを与えたいですね。
Q5. PARKのブランディング事業との関わりやシナジーをどう考えていますか?
三好: MGLはPARKにとって、ブランドグロースのためのまだ持っていなかった手法を研究するラボ、という極めて重要な位置付けです。
これまでのPARKは、ブランドの立ち上げやリブランディングという「変化の瞬間」に寄り添い、成長角度を変えるサポートを得意としてきました。しかし、ブランドを実際に「グロース」させるプロセスや、製造・物流といった泥臭い領域については、まだプロフェッショナルとは言えませんでした。
自社事業としてMGLを運営することで、一円単位の収支や在庫のリスク、顧客の厳しい声に直接向き合う。この実体験が、僕たちのブランディング提案に「凄み」と「説得力」を与えてくれるはずです。
この知見を活かし、現在PARKでは「食のフルスタックチーム」も準備しています。デザインやコピーだけでなく、レシピ設計から製造コンサルティング、物流のアドバイスまで一気通貫で支援できる体制です。かつてPARKのもう一つの自社事業であるスキンケアブランド「LOGIC」で培った知見がコスメ領域の仕事の深みを増したように、MGLを通じて、食品業界の課題を根本から解決できる集団へと進化していきます。
Q6. 最後に意気込みを聞かせてください。
三好: 山には「我慢することが当たり前」という、ある種のストイックな常識があります。もちろんそれは安全を守るための裏付けでもあるのですが、一方で「わがまま」に楽しむことを諦めている側面もあると思うんです。
「機能性は守りつつ、最高に美味しいものが食べたい」といった、一見矛盾するような「わがまま」からこそ、新しい価値や文化は生まれると信じています。
僕たちが、アホな失敗もしながら偏愛を形にし続けることで、「あ、こんなふうに自分の愛をベースに生きていいんだ」と誰かが思ってくれたら。そんな風通しの良い、面白い世界を作るための一助になれたら、これほど幸せなことはありません。