山行

“山の記録をもっと自由に”
MOUNTONEと語る “自分だけの山の楽しみ方”

みなさんは「MOUNTONE(マウントーン)」というアプリをご存知でしょうか。

日本デザインセンターとハイジ・インターフェイスが開発した登山ログアプリで、写真とキャプションを投稿するだけで、美しい山の記録が残せるユニークなサービスです。

アプローチこそ違えど、山に新しい風を、という思いは一緒。

今回はMOUNTONEの開発メンバーの皆さんと一緒に小鋸山へ。マウンテン グルメ ラボの食事を囲みながら、「なぜ山の記録を残すのか」、そして両者が考える山の未来について語りあいました。



嶋口さん(MOUNTONE デザイナー):三好さんは、食事においてコンディショニングが大切ということをおっしゃってますが、それはどういうことでしょうか?


MGL三好:食事って自分がどういう状況かによって、その味わいも変わってくるものだと思うんです。たとえばお腹が空いてるときと満腹状態では、違ってきますよね。空腹状態のほうが食べるという意味でのコンディションは整っている。そういったコンディションを整える場として、登山というものはとても優れているなと思うんです。


鍋田さん(MOUNTONE プロデューサー):ある種、削ぎ落とされるという感じでしょうか?


MGL三好:そうですね。もちろん素晴らしい景色や、美味しい空気の要素も大きいんですが、登山中には食というものの娯楽性が高まると思っています。スマホの電波も通じないですし、日常生活に比べると娯楽が減るわけです。そういう削ぎ落とされた状態というのが、食体験を格段に豊かにしてくれるんじゃないかと。


嶋口さん:たしかに。それに加えて登山は日常に比べると心身ともに追い込まれますよね。一歩踏み外すと危ないシーンもあります。危機というと大げさかもしれませんが、そういったある種の緊張状態も食のありがたさを日常よりも実感できる理由かもしれませんね。


MGL三好:ありがたさ、という意味では思い出も一緒で、普段写真なんか撮りっぱなしで整理なんてしないのに、山に行った写真だけは山名と日付を入れてフォルダ分けしたりします。そういう思い出を美しく仕上げてくれるMOUNTONEのサービスって素晴らしいと思うんですが、そもそもはじめようと思ったきっかけってなんだったんですか?


鍋田さん:日本デザインセンターの60周年のタイミングで、新規事業を全社員から募るという取り組みがあったんです。300件くらいアイデアが出たんですが、その中で、このMOUNTONEが選出されたという経緯ですね。


MGL三好:どうして山だったんですか?


嶋口さん:もともと登山が趣味だったというのが大きいですね。その当時は、山の記録を残せるアプリのようなものはまだ少なくて、綺麗な登山記録を残せるものがあったら良いなということで、MOUNTONEのアイデアが固まっていきました。


鍋田さん:日本の自然の豊かさは世界でも屈指です。そういうものをビジュアライズ化できるようなアプリを作れば、海外の人にも響くんじゃないかという想いもありました。


嶋口さん:当初はわりとインバウンド向けのものを考えていて、例えば羽田空港から一番近い山が検索できるとか、海外の人がどうやったら日本の山に登りやすくなるか、ということに主眼をおいてました。

MGL三好:Mountoneがサービスを開始したのが2023年。面白いことをやる人たちが出てきたなという印象だったんですが、今後こういう方向性で進化していくというビジョンはあるんですか?


嶋口さん:そのあたりはいまプロジェクトを走らせながらいろいろと考えている段階です。ジャストアイデアですが、デザイン面だったらフィルター機能を付けるとか、開始から2年経ってだいぶユーザーの山情報、僕らはログと呼んでいるんですが、ログがたまってきたので、これを活用して情報発信していけたら良いなと思っています。


MGL三好:MOUNTONEさんのようなログの残し方ができるアプリって、他にないと思うんです。だからこそできること、というのがありそうですよね。たとえば、ガーミンとかカロスというスポーツウォッチのアプリだと、自分が歩いた軌跡を地形図上で描いてくれるので、そういうものとMOUNTONEを連携させたりとか。


嶋口さん:実は構想版ではすでにあって、写真の位置情報をもとにデザインされた地図の上に落として行くという。あとは共同編集機能ですとか、いろいろアイデアはあります。



MGL三好:山って同じ山に登ったとしても、登る人の目線、天候、季節などでぜんぜん違う体験になりますよね。その辺りを可視化できるような仕組みとか。


嶋口さん:まさに。僕個人の話になってしまうんですけど、このアプリを使ったことでまた同じ山に登ってみたくなったんですよ。例えば次は花にフォーカスしてみようとか。そういう風に歩く人の目線を広げていけるようなアプリにしていきたいですね。


MGL三好:山って頂上の絶景ばかりがフォーカスされがちですが、そのへんに落ちている石が面白いという人もいますし、地衣類の色味に興味をもつ人もいます。そういう風に、いろんな山の見方というものがありますよ、っていうことを気付かせてくれるアプリはないんですよね。


櫻井さん(MOUNTONE ディレクター):MOUNTONEなら、そういう個性は出しやすいかもしれません。たしかに、人によってその山の捉え方が変わってくるというのも山の魅力ですよね。偏愛的なログが貯まっていったら面白そうですね。たとえばマウンテン グルメ ラボさんだったら食にフィーチャーしたログになったり。多様な視点を共有できるアプリにしていきたいです。


MGL三好:そういう偏愛ログが蓄積されていったら、MOUNTONEならではの財産になりますね。


嶋口さん:MOUNTONEを通じて、自分の山というものを作ってもらえたら嬉しいんですよね。山って頂上を目的にしがちですけど、なんだったら頂上に行かなくても山は楽しいですよね。むしろ行程のほうがオリジナリティは出ます。そういう風に、自分なりの楽しみ方を見つけるきっかけにMOUNTONEがなれればいいなと。


MGL三好:僕の場合だったら下山飯ははずせないんで、それを中心に登山自体を計画したりします。


嶋口さん:他には温泉だったり、神社やお寺。いろいろ広がりますよね。


MGL三好:そういうのが広まってきたら、山自体の選択肢も増えますから、いまみたいにひとつの山に人が集中しすぎるということも減るかもしれませんね。


嶋口さん:僕たちが最初に掲げたテーマが「日本の山は観光資源」というものがあって。富士山だけじゃなく、いろんなローカルな山に外国人観光客に訪れて欲しかったんです。それにもすごく合致しますね。


櫻井さん:今回、マウンテン グルメ ラボさんとご一緒させていただいて、今後なんらかの形で一緒に盛り上げていきたいですが、三好さんとしてはどんなコラボの可能性があると思いますか?


MGL三好:僕たちが商品を開発するときって、実際に行ったことのある山に紐付いていることがほとんどなんです。例えば「鶏と舞茸のシェリー煮込み」は、荒々しい槍ヶ岳のミネラル感というものがヒントになってます。そういう我々の開発背景のようなものを、実際にMOUNTONEのログに落としていくと、リリースだけでは語りにくい裏側のようなものをお見せできるかもしれませんね。あとは、山に行ったときには必ず、良いレストランロケーションだと思ったら地図にピンを立てているんで、それを「MGLオススメ食事スポット」的な感じで残しても良いかもしれません。


嶋口さん:今回の小鋸山で食べた場所も最高のロケーションでしたしね。いち登山者としても、そういう情報はたしかに欲しいです。


MGL三好:食とデザインでジャンルは異なりますが、お互い山の世界に無かったものを作りたい、というコンセプトは一緒だと思います。MOUNTONEさんがどう進化していくのか、とても楽しみにしています。


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