
下山飯 #03
木曽駒ヶ岳と「蕎麦処 駒草屋」
ランドネの取材で木曽駒ケ岳に登った。
山では田嶋シェフが振る舞うめくるめく美食体験。

それでも、やっぱり下山したらお腹は減っている。
何を食べようか。
木曽駒ケ岳のある駒ヶ根市といえばやっぱりソースかつ丼。
なのだが、このソースカツ丼、ボリュームが半端ない。
山でたらふく食べて、さらにはロープウェイの待ち時間にホテル千畳敷でも軽く食べている我々には少々重い。
というわけでやってきました。
「蕎麦処 駒草屋」
バスの到着地、菅の台バスセンターからもほど近い名店です。

ここの細打ちの蕎麦が本当に美味しい。
たっぷりのおろし本わさびといっしょに提供される。
つけ汁にとくのではなく、蕎麦自体に乗せて食べるようにおすすめされる。
一口すする。
鮮烈な蕎麦の香り、わさびの香りがそれぞれ明確な輪郭を持って鼻腔を突き抜ける。
みずみずしくてのどごしも最高。
なるほど。これは納得。

「ズゾゾゾゾッ!」
隣で強烈な音がする。
見ると田嶋シェフが「これが蕎麦喰いの食べ方でぃ!」とでも言わんばかりにすごい勢いで啜り上げている。

なんともかっこいいではないか。
うどんの国香川県出身の僕だが、香川でもうどんは喉で喰う。という。
噛まないのだ。
だいたい野球部とかサッカー部とかのキャプテンはそういう喰い方をしてくる。
だがヘタレな自分はそこまでの境地には至れず、噛んだほうがコシを感じられる気がする…とか思って生きてきた。
だが田嶋の喰いっぷりを目の当たりにすると、負けてなるものか、と闘志がふつふつと湧き上がる。
蕎麦の上に贅沢にたっぷりとわさびを乗せる。普段より気持ち多めに箸で掴む。
心を落ち着かせ、背筋を伸ばしながら蕎麦をつゆにゆっくりと浸していく。
深呼吸を一回。
いくぞ!
「ズゾゾゾゾッ!」
洪水だ。鮮烈な香りが激烈な流れとなって押し寄せる。
香気に顔がほてる。が、みずみずしさが爽やかに追いかけてあっという間にクールダウンしてくれる。
これだ。これだ。
登山で疲れた汗だくのからだが中から洗い流される。

今日も良いものを食べた。
ごちそうさまでした。
(ちなみにここの五平餅も絶品。他とはひと味もふた味も違うので絶対頼むべし。)



